【新譜紹介】アメリカ、バーンハウス社より その2

さて、今回はアメリカのバーンハウス出版のNew CDと新刊を紹介しましょう。
2017年用の新刊は、CD2枚に収録されています。今回はそのうちの1枚からの曲を紹介しましょう。
- 小宇宙の伝説 - チャンドラー・ウィルソン
- 古い英国歌曲によるヨークシャー民謡組曲 - ピエール・ラ・プランツ
- 米国赤十字行進曲 - ルイス・パネイラ(arr:アンドリュー・グローバー)
- アディソン・レッド・ライン - ジェレミー・ベル
- ドイツの聖歌によるコラール・プレリュード - クロード・T・スミス
- 頂上の向こうに - ジャレド・バーンズ
- 歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲 - リヒャルト・ワーグナー(arr:ドナルド・パターソン)
- 英雄と悪魔 - ロブ・ロメイン
- 騎士道のダンス - マット・コナウェイ
- 前奏曲 - アルマス・ヤルネフェルト(arr:アンドリュー・グローバー)
- 愛の挨拶 - エドワード・エルガー(arr:アンドリュー・グローバー)
- 過ぎ去りし年 - エド・ハクビー
- サイラス・ザ・グレート - カール・L・キング(arr:アンドリュー・グローバー)
- トランペットとウインド・アンサンブルのためのシェナンドー幻想曲 - ジャイ・チャッタウェイ
- 管楽器のためのイントラーダ - ロバート・シェルドン
- 目覚めよと呼ぶ声あり - ヨハン・セバスティアン・バッハ(arr:アルフレッド・リード)
- スパークリング・ライト(”クリスマスの木”によるファンファーレ) - マット・コナウェイ
- バンドのための前奏曲 - クロード・T・スミス
小宇宙の伝説 - チャンドラー・ウィルソン

チャンドラー・ウィルソンの作品。衝撃的に開始され、金管がおおらかに活躍します。リズムも新しい感じです。中間部でゆっくりしてホルンが歌います。和音もモダンで新鮮。グレード3ですが4に近いです。良い曲ですが2分40秒と短いのが惜しいです。演奏会のオープナーにおすすめの曲です。今後のウィルソンの作品に期待が持てます。(秋山紀夫)
古い英国歌曲によるヨークシャー民謡組曲 - ピエール・ラ・プランツ

ピエール・ラ・プランテの作品。ホルストやヴォーン・ウイリアムスの影響で作曲されました。「海の歌」「バラード」など子供の歌をもとにした3楽章の曲です。第1楽章は2拍子の元気良く楽しい曲。中間部はユーフォニアムや木管が美しく歌う3部形式です。第2楽章は3拍子のゆっくりしたバラード。第3楽章は2拍子の再び軽快な曲で、各楽器にメロディーが現れます。グレード3.5とありますがが3程度で、初級、中級バンドのコンサートに向いています。7分52秒。(秋山紀夫)
米国赤十字行進曲 - ルイス・パネイラ(arr:アンドリュー・グローバー)
アディソン・レッド・ライン - ジェレミー・ベル

ジェレミー・ベルの作品。シカゴの高架市内電車の名前の付いたこの曲は大変軽快なリズミカルな曲です。変拍子が入りリズムが面白いです。中間でフルートなど木管のソロで薄いサウンドも現れ、変化の表現の勉強になります。グレード4、3分50秒。(秋山紀夫)
ドイツの聖歌によるコラール・プレリュード - クロード・T・スミス

「華麗なる舞曲」の作曲で有名なクロード・T・スミスが1980年代に作曲した曲です。ドイツのクリスマス・ソングが金管と木管で提示され、何回も繰り返されていき、変奏曲のように展開される3分ほどの曲です。グレード2.5、3分8秒。(秋山紀夫)
頂上の向こうに - ジャレド・バーンズ

CDのタイトルになっている曲で、ジャレッド・バーンズの作品。打楽器と木管でにぎやかに開始され、主部では山の荘厳さや、登山の活動が描かれ、打楽器も活躍します。遅い部分はありません。グレード3.5、3分。(秋山紀夫)
歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲 - リヒャルト・ワーグナー(arr:ドナルド・パターソン)

ワーグナー作曲、ドナルド・パターソン編曲。有名で劇的な前奏曲です。金管を中心に開始され、すぐホルン、ユーフォニアム、トロンボーンのユニゾンによる主題が現れれます。第2主題はややゆっくりしますが、再び金管の主題がテューバも加わって繰り返され、ティンパニの響きのうちに終わります。グレード4、3分55秒。チャレンジしがいのある曲です。お薦めです。(秋山紀夫)
英雄と悪魔 - ロブ・ロメイン

作曲者ロブ・ロメインによりますと、この曲は神と悪魔の戦いを描いた曲とのことです。曲はティンパニとともに元気よくファンファーレ風に開始され、ゆっくりした神を讃えるコラールが奏せられ、すぐテンポを速めて、悪魔が暴れまわるテューバの印象的な旋律も聴かれます。それが止まると、再び神を表現する音楽が現れ、悪魔のテューバの旋律と戦い、穏やかな平和が戻り、音楽が勝利と神の栄光を讃えてファンファーレの主題で終わります。表現が具体的すぎる感じもありますがわかりやすいです。グレード4で、6分8秒。(秋山紀夫)
騎士道のダンス - マット・コナウェイ

マット・コナウェイの作品。式典的行進曲で開始されます。その後テンポを速め、リズミカルで活発なダンスに入り、木管が活躍し、金管も加わり、打楽器の長いソロの後、木管がフーガ風な活発な主題を導入し、最後は打楽器に導かれさらに速いコーダに入って終ります。変化があり、メリハリのある音楽で、フェスティヴァルに向いていると紹介されています。グレード3.5、4分13秒。(秋山紀夫)
前奏曲 - アルマス・ヤルネフェルト(arr:アンドリュー・グローバー)

原曲はフィンランド生まれでドイツやパリで学んだ作曲家アルマス・ヤルネフェルト(1869 - 1958)の作品。編曲はアンドリュー・グローヴァー。軽快な2拍子のダンススタイルの音楽で、木管が活躍します。途中でテンポが変わり、いろいろな楽器セクションが活躍できるロンド形式の曲です。グレード3.5、3分53秒。演奏会プログラムの途中で気分転換などに良い曲です。(秋山紀夫)
愛の挨拶 - エドワード・エルガー(arr:アンドリュー・グローバー)

フランス語のタイトルですが、英国のエドワード・エルガー(1857 - 1934)が1889年にオーケストラのために作曲した曲です。アンドリュー・グローヴァーが編曲。心休まる旋律がオーボエなどのソロで歌われます。プログラムの大曲の間に挟みたい曲。グレード3、3分11秒。(秋山紀夫)
過ぎ去りし年 - エド・ハクビー
サイラス・ザ・グレート - カール・L・キング(arr:アンドリュー・グローバー)

カール・L・キングのマーチで、サイラス・サーカス団のテーマ音楽。前奏とトリオに長調の旋律が現れる他はすべて短調の旋律で構成される印象的な良いマーチです。演奏会のアンコールにも好適。グレード3.5、2分27秒。(秋山紀夫)
トランペットとウインド・アンサンブルのためのシェナンドー幻想曲 - ジャイ・チャッタウェイ

「スパニッシュ・フィーバー」等の作曲のジェイ・チャタウェイの作品。トランペットソロのためのたいへん優れた作品です。ゆっくり開始され、ソロが有名な旋律を提示します。心にしみる旋律です。その後テンポを速めソロは華やかな変奏曲を展開します。バンド伴奏のリズムや旋律も凝っています。トランペットの高音域を駆使したカンデンツもあり、ソロはさらに白熱してゆきます。最後にさらに難しいカンツがあり、エキサイティングに曲を閉じます。優れたソリストを得ないと演奏は難しいです。バンド伴奏グレード3.5、ソロは6以上、8分1秒。(秋山紀夫)
管楽器のためのイントラーダ - ロバート・シェルドン

ロバート・シェルドンの作品。トランペットのファンファーレで開始されます。トランペットによる第1主題の後、ユーフォニアムや木管、ホルンなどによる第2主題の後、第1主題が繰り返され、ゆっくりした中間部に入り、クラリネットなどの木管楽器が美しく歌います。ハーモニーも厚くよく響きます。再び速い主題に戻って3部形式を作って終ります。さすがシェルドンらしい良い曲です。グレード3、5分30秒。(秋山紀夫)
目覚めよと呼ぶ声あり - ヨハン・セバスティアン・バッハ(arr:アルフレッド・リード)

この曲は、バッハが作曲したカンタータの1曲で、第140番「目覚めよと呼ぶ声あり」という7曲のコラール・カンタータの第4曲にあたる曲です。曲は、序奏なしに美しいメロディーがヴァイオリンとヴィオラで奏せられますが、このリードの編曲では、クラリネット・セクションがうけもっています。原曲ではテナーの独唱もあらわれていますが、吹奏楽ではホルンやトロンボーンに配されています。あたたかみのある美しいメロディーです。タイトルの「目覚めよと呼ぶ声あり」は聖書の中にある花婿を迎える準備をしている7人の賢い乙女と7人のおろかな乙女の物語で、賢い乙女たちは出迎えの準備がととのっているのに他の7人が眠っているため「目をさませ」と呼びかけることばからつけられています。(秋山紀夫)
スパークリング・ライト(”クリスマスの木”によるファンファーレ) - マット・コナウェイ
バンドのための前奏曲 - クロード・T・スミス

「華麗なる舞曲」の作曲で有名なクロード・T・スミスが1978年に出版した曲。劇的に始まる序奏が印象的。主部はゆっくりして木管が序奏の主題をもとに歌います。主題のリズムはいろいろな楽器に引き継がれて展開します。バスクラのソロで第2部に入り、明るい調に転調し木管が歌い継いでゆきます。第3部は第1部の主題を用いたフーガとなりコーダに入り終わります。旋律が大変魅力的な良い曲です。グレード4、7分33秒。コンクールにも向いています。(秋山紀夫)
秋山紀夫【あきやま・としお】
前ソニー吹奏楽団常任指揮者。現おおみや市民吹奏楽団音楽ディレクター。(社)日本吹奏楽指導者協会名誉会長、(社)全日本吹奏楽連盟名誉会員、アジア・パシフィック吹奏楽指導者協会名誉会長、WASBE(世界吹奏楽会議)名誉会員、浜松市音楽文化名誉顧問、アメリカン・バンド・マスターズ・アソシエーション名誉会員。ソニー吹奏楽団名誉指揮者。