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Music People vol.26 高梨 裕久

吹奏楽の魅力で人の輪が広がっていることを実感しています

 私の吹奏楽は、柏市立柏高等学校に初心者で入部したことが始まりです。中学までは陸上部に所属しており、他にも野球や水泳にも明け暮れるスポーツ少年でした。
 幼少よりピアノは習っていたものの、初心者で入部した私は、楽器の構え方から指使い、移調譜、合奏、マーチングなど、当然のことながら全てが新しいことの連続でした。


 しかし思い返せば、高校時代から楽器や吹奏楽を始めたので、今でも当時の記憶が鮮明で、それらが現在の指導に生きていると実感しています。
 例えば、今の指導活動で高い効果があると実感している反復練習にしても、高校時代のメトロノーム練習が原点です。中でも、高校3年次のコンクール練習の際、石田修一先生から「フレーズ5,000回練習!」と言われたことの驚きは今でも記憶に新しいです。しかしその練習効果は絶大で、当然の事ながらミスは減り、徹底的に体に染み込ませることで周りを聞く余裕が生まれ、結果的に演奏の安定感、音の調和へと繋がったことは鮮明に覚えています。

 また人生初めての海外経験もこの時で、高校2年生の冬休み18日間、1月1日に行われるローズパレード2000/アメリカ・カリフォルニアへの参加を最大の目的として演奏旅行に参加しました。
 ローズパレードで約10Km・2時間のパレードコースを脱落者一人もなく170人がゴールしたことや、複数のチームに分かれて全部門に出演したホリデーミュージックフェスティバルでは、全部門でグランプリを獲得したことなど、その時の喜びは今でも大切な想い出です。

 そして今、吹奏楽を指導する際に最も大切にしている「いい音を作る(豊かな感性を育む)」ことはこの時期に徹底的に叩き込まれたものだと思います。
 また年に数回指導に来ていただいていた小澤俊朗先生のレッスンは、石田先生と指導法は違えど、こだわりから生まれる澄んだサウンドへの変化には、未熟な私の耳にでも実感出来るものでした。レッスンの度にまるで魔法をかけて帰っていかれる姿は印象的でした。


 高校卒業後に進学した神奈川大学吹奏“学部”でも、高校に勝るとも劣らない忙しい吹奏楽活動の毎日でしたが、3年次の2003 第11回世界吹奏楽大会(WASBE)/スウェーデン・ヨンショーピング、またミッド・ヨーロッパ音楽祭/オーストリア・シュラドミング、4年次の2004 第58回ミッド・ウエスト・バンド・クリニック/アメリカ・シカゴこれらのイベントに参加することができたことは、今の自分にとって大変貴重な体験となっています。
 それに私が最も尊敬する作曲家、アルフレッド・リード博士に指揮をしていただいた事も一生の自慢です。
 大学卒業後には、高校卒業時の進路でも考えていた東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現・尚美ミュージックカレッジ専門学校)の吹奏楽コースに編入学し、今の生活、仕事につながる原点がスタートしました。思い返せば毎日が勉強というより、好きなことを好きなだけやることが出来る毎日で、アッという間の充実した2年間でした。


 尚美卒業後は管弦打楽器学科の助手として学校に残ることができ、非常勤講師を経て現在は専任講師になりましたが、学生から教員という立場になり、まだまだ勉強不足な私にとっては初めてのことばかりの連続でした。
 今は、尚美で専任講師として、吹奏楽の指導者として音楽に関わる生活をしていますが、尚美の学生・卒業生と吹奏楽やマーチングの現場で仕事を共に出来ることや、中学・高校で指導したことのある生徒たちと音楽の現場で再会できることがとても嬉しく、吹奏楽の魅力で人の輪が広がっていることを実感しています。
 また、私がこれまで教わった諸先生方は益々ご活躍で、そのバイタリティー溢れる姿に今もエネルギーを頂いております。そしていつも私を気にかけてくださり、深い感謝の気持ちでいっぱいです。私も未熟ながら音楽教育に関わる人間として、吹奏楽の素晴らしさを伝えていけるよう、日々鍛錬を続けていきたいと思います。

高梨 裕久【たかなし・ひろひさ】
神奈川大学 法学部、東京ミュージック&メディアアーツ尚美 芸術表現アカデミー学科 吹奏楽コース(現・尚美ミュージックカレッジ専門学校)を首席で卒業。
吹奏楽、マーチング分野において合奏指導や楽曲アレンジを行う他、コンクール審査員も務める。「サウンドトレーニングの積み重ねから良い響きを作る」をモットーにバンドディレクターとして活動をしている。
現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科専任講師、株式会社ヤマハミュージックジャパン講師、一般社団法人日本管打・吹奏楽学会会員(吹奏楽検定委員)。これまでにサクソフォーンを服部吉之、岩本伸一の各氏に、指揮法を汐澤安彦氏に師事。

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