【新譜紹介】2018年アメリカ、バーンハウス社より その2

さて、今回はアメリカのバーンハウス出版のNew CDと新刊を紹介しましょう。
2018年用の新刊は、CD2枚に収録されています。前回に引き続き2枚目からの曲を紹介します。
- サンスケープス - チャンドラー・ウイルソン
- 炎の大陸 - ジェレミー・ベル
- ライツ・アウト(消灯) - アール・マッコイ
- トム・ソーヤーのポートレート - レベッカ・ジャルビス
- パリの小さなカフェで - ジェレミー・ベル
- 海の神ポセイドン - ジョナサン・マクブライド
- イタリア歌曲集 - arr.ロバート・ロングフィールド
- 勝利者 - カール・キング
- レッド・リヴァー・ステーション - ジェレミー・ベル
- 竹田の子守歌 - arr.ベンジャミン・イェオ
- ハンガリアン・ロンド - ウエーバー
- 儀仗隊行進曲 - クロード・スミス
- ユーモレスク - ドヴォルザーク
- 虜(とりこ) - マット・コナウェイ
サンスケープス - チャンドラー・ウイルソン

チャンドラー・ウイルソンの作品で、明るい太陽の洲フロリダを描いた曲です。木管の動きで華やかに開始され金管がファンファーレ風に高鳴り、細かいリズムの速い主部が活動的に続き、やがて静まると、サクソフォーンがフロリダ州の学校で広く歌われている「フロリダ・ソング」を提示しバンドで繰り返されます。再びテンポを速めてアフロ・ラテンのリズムによるダンス風な音楽となり元気よく終わります。グレード3.5、5分。(秋山紀夫)
炎の大陸 - ジェレミー・ベル

ジェレミー・ベルの作品です。アラビア半島の印象を描いた曲で、まずコンガやクラベスなどの打楽器で開始され、アラビア風な旋律が聴かれ、テンポを速めて舞曲となり、打楽器が活躍します。音楽はさらにアラビア風になり、興味深いです。クラリネットなどの木管のソロも続き、大変エキゾチックです。風変わりな音楽として演奏会に喜ばれるでしょう。グレード3.5、5分12秒。(秋山紀夫)
ライツ・アウト(消灯) - アール・マッコイ
トム・ソーヤーのポートレート - レベッカ・ジャルビス

レベッカ・ジャルビスの作品です。マーク・トウェインの小説の主人公トム・ソーヤーを描いた曲です。主人公のトム・ソーヤー少年とハックルをはじめとする仲間たちとの冒険が描かれます。物語の内容を知っていると、この曲がよく理解できもっと楽しめます。軽快に始まり、打楽器やバンドのリズムがいかにもうアメリカ風で楽しいです。次にゆっくりした部分となり木管が歌い、サックスのソロもあります。次はブルースで、ミュートのトランペットがリードします。最後に軽快なリズムが戻り、トム・ソーヤーの陽気な性格がジャズのリズムで描かれにぎやかに終わります。中級バンドにお薦めです。グレード3.5、8分13秒と長さも充分です。(秋山紀夫)
パリの小さなカフェで - ジェレミー・ベル
海の神ポセイドン - ジョナサン・マクブライド

ジョナサン・マクブライドの作品。ギリシャ神話の海の神ポセイドンを描いた曲です。グレード4、6分04秒。低音の金管からおごそかに始まり、次第に海が荒れて激しさを増してゆきます。中間部でゆっくりし、ユーフォニアムやサックスが歌い、再びホルンが高鳴り、荒れる海の風景が戻ります。(秋山紀夫)
イタリア歌曲集 - arr.ロバート・ロングフィールド

ロバート・ロングフィールド編曲のイタリア歌曲のメドレーです。内容はトスティ作曲の「セレナータ」、ジョルダーニ作曲の「カロ・ミオ・ベン」、デ・クルティス作曲の「帰れソレントへ」の3曲で、どのバンドにとっても、喜ばれるプログラムになるでしょう。2018年出版の数あるBarnhouse社新譜の中でも一番のお勧めの曲です。グレード3.5、5分11秒。(秋山紀夫)
収録曲
セレナータ(作曲:フランチェスコ・ パオロ・トスティ)
カロ・ミオ・ベン(作曲:トンマーゾ・ジョルダーニ)
帰れソレントへ(作曲:エルネスト・デ・クルティス)
勝利者 - カール・キング

カール・キング作曲のマーチの中でも有名な曲です。金管低音が大活躍する短調の第1マーチ、木管楽器が彩る長調の第2マーチ、木管のヴァリエーションと短調の中奏が特徴的なトリオ、とバンドの技術が充分に示せる曲です。キングのマーチの中でもグレードの高い曲。グレード4、2分30秒。(秋山紀夫)
レッド・リヴァー・ステーション - ジェレミー・ベル

ジェレミー・ベル作曲。西部劇の映画音楽のように作られた曲です。「レッド・リヴァー・ステーション」は、牛の群れの大群をテキサス州からカンサス洲に移動させる時に、通過した場所の名前です。トランペットや金管楽器による西部劇映画によく出てくるようなファンファーレから開始され、リズムが映画音楽そのものの感じです。民謡風な旋律が聴かれ、中間部はゆっくりしてキャンプの夜が描かれます。再びテンポを速め牛の移動が続いてゆきます。グレード4、5分。中級バンドのプログラムにも面白くお薦めです。(秋山紀夫)
竹田の子守歌 - arr.ベンジャミン・イェオ

シンガポールの作曲家ベンジャミン・イェオが編曲した日本の大分県の民謡による作品。和太鼓とヴァイブの響きで始まり、男声のハミングで子守歌が提示され、フルートが絡まり、その後バンドで2回子守歌が優しく繰り返されます。イェオは若手のシンガポールの作曲家ですが、すでに何曲かバーンハウスから作品を出版している売れっ子人気作曲家です。子守歌の3回目は木管が歌い、コーダに入って終ります。不自然の無い和声が付けられていて、違和感は全くありません。グレード3.5、5分18秒。(秋山紀夫)
ハンガリアン・ロンド - ウエーバー

フォン・ウェーバーの原曲(ソロ・ヴィオラと管弦楽)をアンドリュー・グローバーがバスーン、バスクラ、ユーフォ、またはテューバのどの楽器のソロでも演奏できるように編曲したものです。CDではバスーンのソロで聴かれます。付点音符の音型の多い軽快な曲です。プログラムにぜひ加えたい一曲です。グレード3、5分55秒。(秋山紀夫)
儀仗隊行進曲 - クロード・スミス
ユーモレスク - ドヴォルザーク

ドヴォルザークの有名な曲をアンドリュー・グローバーが編曲したものです。曲の性質上木管楽器が中心に曲が進んでいきます。重い曲の間に息抜きにプログラムにはさみたい曲です。初中級バンドが木管楽器を生かして演奏するのも、また歌う勉強に演奏するのも良いでしょう。グレード3.5、3分36秒。(秋山紀夫)
虜(とりこ) - マット・コナウェイ

マット・コナウェイの作品です。タイトル「Captive」は、捕虜とか人質との意味もあります。そのため、不気味な雰囲気を持った曲で、ドキドキする胸の高鳴りも聴こえる独特な曲です。グレード4.5、8分26秒。(秋山紀夫)
秋山紀夫【あきやま・としお】
前ソニー吹奏楽団常任指揮者。現おおみや市民吹奏楽団音楽ディレクター。(社)日本吹奏楽指導者協会名誉会長、(社)全日本吹奏楽連盟名誉会員、アジア・パシフィック吹奏楽指導者協会名誉会長、WASBE(世界吹奏楽会議)名誉会員、浜松市音楽文化名誉顧問、アメリカン・バンド・マスターズ・アソシエーション名誉会員。ソニー吹奏楽団名誉指揮者。