作曲者 | 伊藤康英(イトウ・ヤスヒデ) |
シリーズ | オリジナル |
編成概要 | 吹奏楽 |
解説 | 【作曲家からの曲解説】 つい最近、フランク・エリクソン作曲の「バンドのためのトッカータ」のフル・スコアが手に入った。中学当時、一つ上の先輩が吹奏楽部を作って活動をはじめ、その最初のころに演奏した曲だ。ごく単純なシンコペーションですらもリズムがとれず、苦労してリハーサルしていたことを思い出す。 ピアノ曲には初心者向きにも優れた教材がたくさんある。シューマンの「子供のためのアルバム」なんぞは、一見易しく、子供向きに見えるが、内容はかなり高度なものも含んだ素晴らしい曲集である。ブルクミュラーとても、なかなか気が利いた教材であり、古くから愛好されている。 一方、吹奏楽には優れた教材が少ないように思う。(だからぼくは吹奏楽の作曲を始めたのだが)。 そんな中、往時は、アメリカの優れた教材をこぞって演奏したものだった。演奏したことがある曲で、個人的に気に入っていたのは、マクベスの「モザイク」と、エリクソンの「バンドのためのトッカータ」。なかなかよくできた曲である。しかし残念ながらこれらの作品はコンクールで取り上げられているのを見たことはないのだが。 ところで、エリクソン著の「バンドのための編曲法」は、ぼくが30歳くらいの頃に翻訳して出版した。なにかとエリクソンとは縁があったのだろうか。そして今、手に入れたばかりの「バンドのためのトッカータ」のスコアを懐かしく眺めている。シンプルながらやはりよくできている。 さて、今の子供たちへの好個な教材になるようにと願って、あえて同じ題名を借りて作品を書いた。ピアノの世界で言ったら、ブルクミュラー程度の作品だと思う。しかしこの中に、動機の展開、各種の旋法、転調の面白さといった作曲技法のちょっとした楽しみやら、リズムのエチュード、ハーモニーのエチュード、それからメロディーを美しく歌うエチュード、など、様々な要素を織り込んでみた。 コンクールで取り上げるかどうかはさておき、ちょっと懐かしいサウンドがするこの作品を、是非一度、教材として扱っていただければ、この上ない喜びである。(伊藤康英) |
解説2 | 【秋山紀夫先生 (日本吹奏楽指導者協会名誉会長) からの曲解説】 作曲者はアメリカのフランク・エリクソン(1923 1996)の同名の作品が音楽的でしかもやさしく書かれていることに共感し、この曲を書いた、と述べています。まさにその言葉のとおり、このシリーズの中でも抜群の秀作で、こんな曲こそ課題曲になって欲しいです。「A-B-A」の3部形式で、第1部は「a-b-a’」で構成され、4分の2拍子の主題の第1小節のリズムはエリクソンと同じです。しかもこの主題が対位法的に反復し、組み合わされていて、また各パートに現れていて、演奏者も興味を持って演奏できるでしょう。ゆっくりした中間部の「B」は4分の3拍子で木管とトランペット、ユーフォニアムが歌い、ホルンとトロンボーンがシンコペーションのリズムで伴奏し、打楽器がボレロ風なリズムを刻み、すべてのパートに見せ場を作っています。第3部で4分の2拍子に戻り、打楽器セクションのソロに導かれて第1主題が再現されます。コーダでは「A」と「B」の2つの主題が見事に絡み合って終わります。グレード4、5分40秒。音楽度スーパーAです。(秋山紀夫) |
編成 | この楽譜は「小編成用」の楽譜で、小編成バンドでもコンクールに出場できるように、最小18人から演奏できるように工夫されています。 スコア識別 Full Score 木管楽器 Flute 1&2(2nd also Piccolo) Oboe(Option) Bassoon(Option) Bb Clarinet 1 Bb Clarinet 2 Bb Bass Clarinet Eb Alto Saxophone Bb Tenor Saxophone Eb Baritone Saxophone 金管・弦楽器 F Horn 1&2 Bb Trumpet 1&2 Trombone 1&2 Euphonium Tuba String Bass(Option) 打楽器 Percussion 1 (Timpani,Suspended Cymbal,2 Tom-tom) Percussion 2 (Glockenspiel,Xylophone,Snare Drum,Tom-tom,Vibraphone) ※Xylo.とVib.はGlock.での代用も可能です。 |