作曲者 | 鹿野草平(カノ・ソウヘイ) |
シリーズ | オリジナル |
編成概要 | 吹奏楽 |
解説 | 【作曲家からの曲解説】 「飛翔 風速6.7m/秒 」は、パイロット候補である青年が、はじめてのフライトに挑む物語を想定して制作された作品です。はじめて飛ぶ喜び、恐れ、期待や、支援してくれている家族や友人などを思い起こす様を表現しました。風速を見ると、風速6.7m/秒。フライトには問題ない風速ですが、パイロットの初飛行にはやや恐怖を呼び起こす風速です。 作曲に際しては、変拍子は4分音符単位のみとし、同じ音型を効果的に連用する工夫を行いました。全体としては「導入」「急-緩-急」 「Coda」の、大きな3分形式といって差し支えありません(ただしB部分は大きく刈り込まれています)。導入部分は、ヒロイックなメロディーと不安定な和音、それと随所に差し込む短いアレグロ部分によって、恐れと期待、空へのあこがれが入り混じった感情を表現しました。急部分はまさにセスナ機が滑走路へと侵入し、フライトへと向かう躍動感を描きました。緩部分は集中している中で一瞬頭をよぎる、家族や仲間たちとの思い出や彼らの熱い声援です。 制作は、2014年11月から12月末まで行われました。多数の楽団がこの作品に挑むのを楽しみにしています。(鹿野草平) |
解説2 | 【秋山紀夫先生 (日本吹奏楽指導者協会名誉会長) からの曲解説】 パイロットが初めての単独飛行に挑む様子・気持ちを描いた曲です。序奏を持つ3部形式。ゆっくりした序奏の中に何回か速い部分が挿入され、気分の不安定を描いています。速い主部は4分の3、4分の2拍子が目まぐるしく変わり、時々4分の4拍子も混じります。中間部は4分の3拍子で木管から歌いだされ、トランペットやホルンに移ります。再び速い主部に戻り、最後のコーダで一度テンポを緩めますが速く一気に終わります。 【指揮者:佐藤正人先生からの演奏上のアドヴァイス】 鹿野氏の作品は他の邦人作品にはない作風があり、この曲もそれを遺憾なく発揮しています。曲はゆったりとした、神秘的で、期待感と不安が交錯する見事なコラールから開始されます。弱奏ですが、聴かせどころです。説得力ある演奏を。5は印象的です。 Tempo =62と =160の曲想が交互に奏されます。2拍子、3拍子と一見難しそうですが、フレージングとビート感に慣れれば、編成から見てもスクールバンドで十分演奏できます。(演奏したメンバーも絶賛していました) 中心になるセクションやフレーズは、ダイナミクスの設定で明確に示されているので、理解しやすいと思います。また、旋律とハーモニーのバランスとテンポ感にも注意して演奏しましょう。 6 16までは、非常にリズミカルでビート感あふれる部分です。 練習番号で場面転換しますが、音楽の区切りであるフレーズも小節線を越えて書かれています。自然に聴こえるようにフレージングを良く把握して演奏してください。それに伴うハーモニーを担当するパートとテンポ感も統一することも重要です。特にシンコペーションによって流れが止まらないようにしましょう。 17以降は、Tempoは速いままですが、フレーズを大きくとらえて、音楽の流れがを作ってください。ここも伴奏とのコントラストとテンポ感が重要です。 24からは神秘的な中間部です。この部分は非常に印象的なので、思い切って歌って下さい。27以降、これまで登場したモチーフが断片的に現れます。間の取り方にも感性が現れます。また、30からは、バンドの腕の見せ所ですね。続く、コーダにあたる39からさらに速度を上げて一気に駆け抜けます。なかなか触れる機会の少ないスタイルで書かれていますが、是非多くのバンドで取り上げてほしい作品です。 |
編成 | この楽譜は「小編成用」の楽譜で、小編成バンドでもコンクールに出場できるように、最小19人から演奏できるように工夫されています。 スコア識別 Full Score 木管楽器 Piccolo Flute Oboe(Option) Bassoon(Option) Bb Clarinet 1 Bb Clarinet 2 Bb Bass Clarinet Eb Alto Saxophone Bb Tenor Saxophone Eb Baritone Saxophone 金管・弦楽器 Bb Trumpet 1 Bb Trumpet 2 F Horn 1 F Horn 2 Trombone 1 Trombone 2 Euphonium Tuba String Bass(Option) 打楽器 Timpani(Option) Snare Drum Percussion (Tam-Tam, Suspended Cymbal, Triangle) Vibraphone |