作曲者 | 伊藤康英(イトウ・ヤスヒデ) |
シリーズ | ソロ(木管,金管,打楽器) |
編成概要 | ユーフォニアム/ピアノ |
解説 | 【曲の解説】 ヴァイオリンの名手として、また作曲家として知られるF.クライスラー(1875-1962)には、「マルティーニの様式による~」とか「プニャーニの様式による~」といったタイトルの作品がいくつかある。これらは、「大作曲家マルティーニ(1704-84)の作品が発見されました。私はそれに少しだけ編曲の手を加えてヴァイオリンで演奏します」と言って演奏会で取り上げていたのだが、実はクライスラー自身の手になる作品。そのことをクライスラーの晩年になって実は自作曲だと公表した際には、「タイムズ」誌はじめずいぶんと叩かれたらしい。大作曲家の名を冠した作品ならばそのまま評価してしまうという批評家たちは、まんまと騙されたというわけだ。 ・・・という話が面白いなあと思っていたところ、ふと、クライスラーふうの作品を書いてみたくなった。クライスラーには「愛の喜び」「愛の悲しみ」という名作があるので、もう1曲、「愛の誠」という曲を書いていて、実は「愛」三部作を計画していたのだ、という触れ込みでこの曲を発表、もちろんクライスラーの作品の「世界初演」と銘打って演奏したのだが、ついうっかり、コンサートの最後で、実はぼくの作品であると白状してしまった。原曲はヴァイオリンとピアノ。初演のヴァイオリン独奏は、浦川宜也氏。 余談ながら、そういえば「愛の誠(Liebestreu)」という名の歌曲がブラームスにあったなあと思い出した。Op.3とつけられた、ブラームス最初の歌曲である。戯れにその歌詞をこのメロディーに乗せたところピッタリと当てはまったので、この曲には歌曲版もある。 今回は、新たにユーフォニアム版を作った。 クライスラーならではのワルツの妙味を生かして演奏していただけたらありがたい。 (伊藤康英) |
解説2 | 《伊藤康英プロフィール》 交響詩「ぐるりよざ」などで世界的に知られる。またオペラ「ミスター・シンデレラ」はじめとした声楽作品もしばしば演奏されている。ピアノ連弾曲集「ぐるぐるピアノ」シリーズ(音楽之友社)も高く評価されている。とくにアジア諸国にて吹奏楽の指揮、指導など。またピアニストとして多くの声楽家の伴奏を務めている。 東京藝術大学作曲科および同大学院修了。その後、同大学にてソルフェージュ科講師として長らく教鞭を取り、現在は、洗足学園音楽大学教授。静岡県音楽コンクールピアノ部門1位、日本音楽コンクール作曲部門入賞、奏楽堂日本歌曲コンクール優秀共演者賞などを受賞。 |
編成 | Euphonium/Piano |