作曲者 | David R. Holsinger(デイヴィッド・R・ホルジンガー) |
シリーズ | 輸入オリジナル |
編成概要 | 吹奏楽 |
解説 | 「春になって、王たちが戦いに出るに及んで…」の作曲者として日本でもたいへん人気のあるホルジンガーの作品。 この曲はヴァージニア州ラングレー空軍基地の第564戦略空軍司令部軍楽隊の委嘱で作曲した曲で、1990年秋同軍楽隊長ローウェル・グレーアム中佐の指揮で初演されました。 この曲のタイトルは英文で「To Tame the Perilous Skies(危険な空を制圧するために)」となっていますが、ここではわかりやすく「大空への挑戦」と訳すことにしました。 さて、作曲者はこの曲について次のように述べています。 ──この曲の物語は聴き手の想像力による。「危険な空」は戦争でぶつかり合う2つの対立した力を文字どおり描写した予言的な作品として構成されている。引き伸ばされた、追いかけるような序奏で、曲全体を通して用いられる6つのピッチによる音程が提示される。 このテーマは、静けさから空での戦いが勝利で解放されるところまで特別な音楽的な要素として、そっくりそのまま用いられたり、いろいろに工夫された断面として2通りに用いられる。 第2の旋律的なファンファーレのような主題は、この曲がはじまって2分ほどのところできかれる独奏トランペットによるメロディで、これははじめの音程的な主題にいつも対立的に繰り返される。 1990年はイギリスが第2次世界大戦で繰り広げたドイツとの空の戦い「バトル・オブ・ブリテン」の50周年記念にあたっていたためそれにヒントを得てこの曲を作曲したのだが、1991年1月に湾岸戦争がはじまり、作曲者ははからずも、自分が考えた「大空への挑戦」を新しい技術的な空の戦いとして見ることができた。 そのため、この曲は、単に第564戦略空軍の兵士たちに捧げるだけでなく、自由のために力をつくすすべての人々に捧げたいと思う。── 曲はこの解説のように木管の6つの異なったピッチの吹き伸ばしにより静かに開始され、多彩な打楽器がいろいろな自由な奏法で加わります。やがてフルートのソロがはじまり8小節過ぎたところで、もう1つの対立的な主題がコルネットのソロで奏せられます。この16分音符を多く用いたテーマはフルートと絡みながら進み、それにトロンボーン、2番コルネット、クラリネット、トランペット等がフーガのように次々に加わり、大きなクライマックスをつくり1度静けさに戻ります。次にテンポの速い主部に入ります。この速い主部は戦いを表現する部分で、いろいろに拍子を変え、リズムを変え、楽器編成を変えてたいへんエキサイティングに続きます。テレビゲームでも見ているような気ぜわしく変化する部分で、バンドのもつ力すべてを出し切るような興奮が続き、ゆっくりすることなく激しく終わります。 本当にきく人のイマジネーション(想像力)をかきたてるようなわくわくした曲です。 (秋山紀夫) |