作曲者 | 八木澤教司(ヤギサワ・サトシ) |
シリーズ | オリジナル |
編成概要 | 吹奏楽 |
解説 | 奈良県立高田高等学校創立90周年記念委嘱作品として2011年に作曲し、当時の吹奏楽部顧問であった谷村厚先生の指揮、同高校吹奏楽部によって世界初演。 同高校がある大和高田市には、源義経が吉野へ行くときに家臣と座って休憩したとされる七つ石など、いろいろな伝承が残る興味深い土地です。作品の副題となっている女性、義経の側室として知られる静御前は、京の都でも有名な白拍子でした。平家滅亡後、義経の兄である頼朝から追われる身となり捕らえられた静御前は、生き別れとなった義経を恋い慕う歌を謡いました。これに頼朝が激怒し、北条政子が取り成したという逸話が残っています。心疲れて病気となった静御前は、出家して母の故郷である大和高田市磯野に戻ります。笠神の杜へ病平癒を祈願に通っていた彼女はその途中、松に衣を掛け小休憩したそうです。その衣掛けの松があったとされる記念碑が今も高田高校に伝わっています。義経の無事と子の冥福を祈り続けた静御前はどんな想いでいたでしょう。彼女の半生は謎が多いものの、どんな状況にも怯むことなく自分の意思を貫く性格の持ち主であったことがうかがえます。 作曲から12年経ち、新たな気持ちで改訂し、少人数バンドでも取り組める編成で出版しました。 (八木澤教司) ●佐藤正人先生による「演奏上のアドヴァイス赤入り」フルスコア付き(通常フルスコアと2種のスコア付き) 《佐藤正人先生からの推薦のお言葉》 源義経の側室であり京都の有名な白拍子であった静御前(大河ドラマや日本史でご存知の人も多いのでは)の劇的な生涯を描いたこの曲は、まさに「究極の吹奏楽シリーズ自由曲」でもおすすめの一曲です。 2011年に奈良県立高田高等学校のために作曲、今回小編成に改訂されていますが、編成以上の表現(演奏効果も)が期待できます。ドラマティックでストーリー性に富んでいて、まさに八木澤さんの魅力満載です。 |
解説2 | 《八木澤教司プロフィール》 武蔵野音楽大学作曲学科卒業、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。吹奏楽やアンサンブルの代表作は日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国、南米でも重要なレパートリーとなる。 2019年11月9日、天皇陛下御即位奉祝記念式典・国民祭典において天皇皇后両陛下「お出迎えのファンファーレ」として、東京2020パラリンピック開会式の式典音楽として作品がそれぞれ抜擢された。その他、ヨーロッパで歴史的権威のあるスペイン・バレンシア国際吹奏楽コンクールの課題曲に作品が選定、ミステリー映画「ソロモンの偽証・後篇」では《輝きの海へ》が挿入曲として使用されるなど活動は多岐に亘る。これまで全国植樹祭、全国高等学校総合体育大会、国民体育大会の式典音楽制作を歴任。その他、各種コンクール審査員、客演指揮、指導、講演、音楽雑誌執筆に加え、音楽出版社のプロジェクトアドバイザーなどを務める。 合唱曲として手がけた《あすという日が》は“希望の歌”“東日本大震災復興シンボル曲”と称され、2011年第62回NHK紅白歌合戦において夏川りみ、秋川雅史の両氏によって熱唱された。第21回日本管打・吹奏楽 アカデミー賞[作・編曲部門](2011年)受賞、平成23年度 JBA下谷奨励賞を受賞。 2020年度より関西に拠点を移し、神戸女学院大学音楽学部で作曲・音楽理論・吹奏楽の指導にあたる。 |
編成 | Full Score *Piccolo(Opt.) Flute 1 *Flute 2(Opt.) *Oboe(Opt.) *Bassoon(Opt.) Bb Clarinet 1 *Bb Clarinet 2(Opt.) Bb Bass Clarinet Eb Alto Saxophone Bb Tenor Saxophone Eb Baritone Saxophone Bb Trumpet 1 *Bb Trumpet 2(Opt.) F Horns 1 & *2(Opt.) Trombone 1 *Trombone 2(Opt.) Euphonium Tuba *String Bass(Opt.) Timpani *Glockenspiel(Opt.) Percussion 1(Snare Drum,Finger Cymbals(Triangle),Wind Chimes,Crush Cymbals) *Percussion 2 (Opt.)(Suspended Cymbal,Bass Drum,Gong) |